このことを具体例を挙げて説明してみましょう。
あなたの会社が、原価率70%の商品を販売する会社だとします。
70万円分の商品を仕入れて完売すれば、100万円分が売り上げとなります。
利益計算(損益計算書)では、30万円の利益が計上されます(図1)。
この時点で、30万円の現金が会社に残っていれば、現金収支計算も一致していることになります。
しかし、実際には一致していないことがほとんどです。
70万円分の商品を全額現金で仕入れて完売したが、100万円の入金が翌月末日である場合はどうなるでしょか?
現金収支計算(キャッシュフロー計算書)では、当月中は70万円の支出のみが計上されます(図2)。
翌月末日まで、利益計算と現金収支計算には、30万円マイナス▲70万円イコール100万円のズレが生じてきます。
つまり、利益の計算は、実際の現金の動きに関係なく、収益、費用の発生の事実に基づいて計算されるので、実際に使える現金残高はわかりません。
一方現金収支計算によりキャッシュ残高を求めると、それは実際に使える現金の流れ(キャッシュフロー)を現したものとなります。
上記の具体例によれば、翌月末日まではお金が70万円不足している状態です。
当然その他にも販売のために要した人件費などの支払いが発生します。その支払うべき金額を用意できなければ、金融機関からの借り入れに頼らざるを得なくなります。
このような状況が慢性的に続いていくと、利息の支払いなどで資金繰りがどんどん悪化し、最終的には会社を維持できなくなります。
これが「黒字倒産」です。
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